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『惡の華』押見修造が描くと青春物語はこうなる

2016/09/07

惡の華 / 押見修造

色々なことに思いを巡らせて、とにかく悩みが尽きない思春期。でも勉強や部活、大人になって思い出してもキラキラとした良い思い出と同時に、当時のモラトリアム感を思い出したりもしますよね。

『漂流ネットカフェ』でも有名な押見修造先生。押見先生が青春の誰でも持っているモラトリアム感を突き詰めて描いた作品が『惡の華』です。本作はアニメ化もされ、登場人物の衝撃的なセリフと共に有名になりました。

主人公の春日高男は真面目で趣味が読書のどこにでもいるような中学生。彼はある放課後、ふとしたことから密かに思いを寄せる同級生・佐伯奈々子の体操着を盗んでしまい、しかもそれをクラスでも変人扱いされていて友達もいない中村佐和に目撃されていた。佐和は春日にそのことをばらさないかわりに「私と契約しよう」と迫り、春日に無理難題を突きつけてくる。佐和と秘密を共有しながら、春日の世界は少しずつぐらつきはじめ。。。

春日、佐和、佐伯奈々子、そして回りのクラスメート、親たちを巻き込み、春日の住む街に小さな事件が起こる。そして、やがて高校生になった春日は。。。

思春期の頃に、誰しもが持っているモラトリアムというか閉塞感というか、そのほんの小さな感情を極限まで深く考えこまないと、たぶんこういう物語は作れないんじゃないかと思います。さすが押見先生。読むととてつもなく他人事のような気もする自分もいながら、確実に共感できる部分も持ってしまう罪悪感。セリフやストーリーの過激さに敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、読後のせつなさやメッセージは心に刺さります。おすすめの一冊です。

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